なぜ共働きも専業も(そして男性も)しんどいのか?(2/2)

本記事は、下記本のブックレビューの2/2です。1/2はこちら
中野円佳 「なぜ共働きも専業もしんどいのか 主婦がいないと回らない構造」2019年

専業主婦がしんどい

共働きの大変さは前記事で述べました。一方、専業主婦はどうか、というとこれもまたしんどい状況があります。乳幼児を抱えていると専業主婦たちの1日は多忙です。専業主婦たちがこどもを預け始めるのは3歳。女性自身や子どもの性格にもよるところはありますが、毎日子どもと一緒にいながら家事をする。「自分が仕事をしていない」という気持ちから夫に協力をお願いできなかったり、後ろめたさを感じたりしています。

加えて、家事にも育児にもこだわると終わりがありません。日本人の家事はとても高度です。「誰も来ないとしても」「きちんと」しておくことが浸透している。

「専業主婦は自分で選んだこと」と言われることがよくあります。ただ、この本を読んでいたり周りの事情を見ていると、専業主婦を選ばなければならなかった状況が垣間見えます。一番の要因は夫の転勤。特に海外転勤になったときには、その家族は大きな決断を迫られます。

私が今回転職した会社は「(女性の)育児休暇取得率100%」を謳っていますが、よくよく聞くと「配偶者の転勤による退職を除く」と注釈がつくのです。このことが、日本の社会構造を表しているような気がしてなりません。

男性もしんどい(主婦がいないとまわらない社会構造)

「夫の転勤により専業主婦になる」という事象が、「主婦がいないとまわらない社会構造」を象徴しているように思います。日本のサラリーマンの働き方は、「時間・場所・職務が無限定」だといわれている。最近は、ツイッターなどを通じて「転勤を命じられたら辞めればいい」という話もでてきて、この構造に疑問を投げかける人も多くいます。2006年のネスレ日本事件では、「配転命令権の乱用」として転勤を無効とする判断も出てきています。

正社員の男性の長時間労働傾向は依然としてある。男性たちは仕事での成功に対して競争して手に入れることをあおられており、住宅ローンなどの仕組みが男性を辞めにくくしている。

著者はこのように表現しています。

”妻が働き始めようにも、夫の転勤にあわせたために保育園が確保できず、共働きに戻れない。働き方を改善しようと転職を検討しても、妻が専業主婦だからこそ転職できない。残業代を含めた住宅ローンを組んでいて長時間労働を辞められない人や、転職を妻に反対される「嫁ブロック」に遭う人もいる。男性たちこそ、専業主婦前提社会のループにはまっていないか”

変わる社会、変わる働き方

この本の第三部で、「共働きも、専業主婦もしんどい」状況の中で少しずつ社会が変わり始めていることをまとめています。正社員の長時間労働改革や、ギグエコノミーの発展。そして、在宅勤務やリモートワークの威力。広がるCtoC家事代行ビジネス・・・

保育園や学校制度の改革、フリーランス向けのセーフティネット。女性活用に「解」を出そうとすると最終的には政治につながっていきます。1人の個人が声を上げ、企業が問題を認識し取り組むことから意識を変えて、個人的なことを政治的につなげていくしかない。

自分の経験や、周りの人たちの話、本から得た知見を総動員して「女性の活躍を推進するにはどうすべきか」の解決策を模索していますが、「長時間労働」、「通勤時間」、「オールドボーイズネットワーク」「配属や転勤」「フリーランスのセーフティネット」この辺りがキーワードになってくるのだと思います。

この本は、インタビューを通じて今の社会構造を浮き彫りにしていること、そして「育休世代のジレンマ」から社会は少しずつ変わっているけれど次の一手が必要であることを教えてくれました。

PAGE TOP