「家が欲しい」と思うのはどんな時でしょうか。日々住宅購入を検討している方々と接している中で感じていることを書いてみたいと思います。
人生のイベントに直面しているとき
一番最初に思いつくのが、人生のイベントに直面しているときです。
・結婚する
・子供を持つことを考えている
・転勤
・子供が小学校に入るから
最近は、40歳前後で結婚する方も多く、どちらかがすでにマンションを所有しているケースも多くみられます。希望通り売れるといいのですが、難しいケースにも多々出会います。
「人生のイベントに直面しているとき」に考えるのは、「広い家に住みたい」「2人とも通勤アクセスがよいところに住みたい」「希望の小学校の学区内に住みたい」ということであって、本来なら賃貸でもいいわけです。人生のイベントに直面しているからって、「家を所有する」必要性はあまり感じられません。
住宅購入を考えたきっかけ
どこの不動産屋に行っても、まずはアンケートを記入します。そこにあるのが「住宅購入を考えたきっかけ」という項目。私が見ている範囲では、下記の理由が多いです。(人生のイベント系は除く)
・家賃がもったいない
・質のいい家に住みたい
「家賃がもったいない」という人の多いこと。確かに、同じところに長く住むことが決まっているのなら、賃貸より所有の方がいいと思います。「質のいい家に住みたい」というのも、その枕詞に「(家賃をあまりあげずに)」というフレーズが入るのだと思います。賃貸から購入を考える方に一番多い理由かもしれません。
もう一つ、特に単身女性に多いのが「老後の安心のため」という項目です。年を取ると賃貸が借りづらくなるという気持ちがあるのです。今まで仕事を頑張ってきて、ローンを支払えるくらいの収入はあるし、頭金くらいの貯金はある。そんな時に人生のステップを登ってみたくなるのです。かつて私もそうだったのでよくわかります。
その時に注意したいのは、やはり身の丈以上の借入を起こさないこと、金利変動に耐えられる資金計画にすることです。これからの人生のパターンをいくつか考えて、取れるリスクなのかを検討する必要があります。
「住まなくなったら売ればいい」とよく聞きますが、売るのにはお金も時間も手間も相当にかかります。住宅を取得するにもわからないことがたくさんあり消耗しますが、売る場合はもっとだと思います。
長く住宅に関わる仕事をしていると「家って衝動買いだな」と感じることがあります。気に入ったものを見つけたら欲しいし、買えたときはそれはうれしいものです。「自分のもの」と思って誇らしい気分になるはずです。でも、それは一瞬のことで、生活と支払いはずっと続いていきます。
個人的には、「所有」という形ではなく、2年で更新の「賃貸」でもなく、別のかたちでその時のスタイルに合った家に住めるような仕組みが欲しいと思っています。思案中です。