観光復活へ知られざるシナリオ
はじめに インバウンド需要の消滅
訪日外国人旅行者数の推移
2009年 約679万人
2019年 約3,188万人 4倍に増加
10年後の2030年は6,000万人を目指していた
ところが2020年入ると
1月 約266万人
2月 約108万人
3月 約19万人 去年と比較し9割以上減
そして、追い打ちをかけるように緊急事態宣言による外出自粛
■観光庁「旅行・観光消費動向調査」「訪日外国人消費動向調査」より算出されたデータ
2019年 日本人旅行 23,2兆円(82.8%) 訪日外国人旅行 17.2%
星野流のシナリオ
「星野リゾート代表 星野佳路さん」
何十年に一度 もしかしたら100年に一度かもしれない
「1年から2年後の日本の観光が復活するために今何をすべきか」
4月21日 星野氏は幹部を集め戦略会議を開いた ロードマップを示す
1 外出自粛
2 近隣から戻ってくる 30分から1時間で
3 首都圏 関西圏が戻る
4 その先に インバウンドがある
星野氏「僕らはいつの間にかどんどん遠くに行って、そっち(インバウンド)がボリュームあったからそればっかりだったけど」
星野氏「今回はこれ(インバウンド)はあまり期待できない 収束するまでは」
北海道 3月下旬 占冠村のホテルを訪れる
これまで訪日外国人観光客が6~8割を占めていた クリスマスはシンガポール、それが終わるとオーストラリアの夏休みが始まり、それがちょっと落ち着くと中国の旧正月になる
星野氏「今年は新型コロナウイルスの問題がありますからいつになったら戻ってくるか読めない難しい年になると思います」
現場責任者からは、更に国内の旅行客もキャンセルが相次いでいて見通しは厳しいと聞かされた
しかし、これまで何度も破綻してきたホテルの再生を果たしてきた星野さんは逆転の一手を練っていました
星野氏「何が出来るだろうな」
星野氏「再生を星野リゾートでやってきて、業績が悪いことに慣れているんですよね(笑)」
少々悪くても誰も驚かない
なんか方法はあるはずだと
「過去の困難な時に発想してきたことが今の私たちの力になっているんですよね」
「今回も大変な過去になかったような大きな事件だと思っていますがこの環境下においても私たちは常に発想し続けて 常に次の収束したときにより強い施設になっていよう、より強い私たちの組織にしていくためにはどうしたらいいか、そういう発想をしていくことがすごく大事だと思います」
取り込むための一手“ 近場で旅行を楽しみたい”
星野氏「感染拡大を防止しながら経済活動を維持していく」
「両立を目指すときにはここの近隣の1時間圏内のマーケットに対して訴求する魅力を作っていく」
「そこでベースをつくるというのはすごく重要だ」
「コロナ問題収束後のプラスになるようなネットワークづくりが出来ればいいなというのを視野に入れて考えてもらいたい」
「地域の人にアピール」 が鍵になる ネットワーク強化
ホテル業は宿泊施設だけでなく多くの地域住民がかかわっている
- 農家
- 漁師
- バス・タクシー会社
- 運輸
- みやげ物屋
- 飲食店
- 旅行会社
星野氏「観光は実は海外移転できない産業なんです その場所で観光産業が育ってくると人件費が安いからといって違う国にそれを動かすことが出来ない 地域に根ざした産業なんです」
「私たちは取引業さんはたくさんいらっしゃいますのでそういった方の売上 その会社の社員の方を含めて そこも考えなければいけない」
「そういった観光が及ぼす波及効果を考えるとそれは私たちが出来る範囲でしっかりと仕事をしていくことが地域のためにもすごく大事だと思っています」
より強い地域になるために
ホテルのカフェ従業員が地元の農家を訪ねる ホテルの仕事が出来ない間は人手の少ない農家を手伝うことにした
地元でもなかなか出回らない食材を体験
星野氏「地元の観光資源を見つけて地域の良さを再発見してもらう」
「需要を戻す意味でも大事ですし 雇用を維持することにもプラスになりますし 地域の方々が地域の魅力についてコロナ以前よりもよく理解して知っているってことが私はすごく大きな力になると思っています」
観光業の未来を予測 インバウンドは1年~1年半は戻らない 地域を柱にした観光へ舵を切れ!!
星野氏「おそらく緩和し始めると若干なりとも感染者数が増える可能性がありますし そうするとまた自粛をしなければならない」
「社会は毎回それを繰り返すたびに、少しずつコロナウイルスの対処法が私たちはうまくなってくるので、だんだんとこの波(感染者数)は下がってくると私は予想していまして 治療薬ワクチンの誕生まではそれまでより低い観光需要の状態なんですが その中でも最善の努力をすることによって私たちの産業が生き延びていくことを目指さなければいけない」
溝畑流のシナリオ
大阪の外国人観光客数(大阪観光局推計)
2014年 376万人
2018年 1,142万人 大阪は日本のインバウンドの優等生とも言われてきた
それを推し進めてきた人物 「大阪観光局 局長の溝畑宏さん」
Jリーグ大分トリニータ(2004~2009)社長
観光庁長官(2010~2012)を歴任してきた
関西人ならではの視点 + 星野さんとの共通点も
観光都市・大阪 復活へのシナリオ
3月以降 大阪の外国人観光客は1割以下に 難しいかじ取りを任された
溝畑氏「不要不急の産業と言われているわけでしょ スポーツや文化や観光って そうなってはいけないと僕は思っている」
「非常時でもみなさんの心に響く産業にならないといけない レジャーじゃない みんなレジャーだと思っているからいらないと言っている どんな時でも必要な産業にならないと本当の観光立国にはならない 」
溝畑流 観光復活のロードマップ
「自粛をいつの段階でやめて国内・インバウンドを広げていくプロセスです」
- 再開 プロ野球やJリーグ、テーマパークが再開するタイミングだと考える
- 回復期1 国内の観光客
- 回復期2 東アジアの観光客
- 回復期3 欧米の観光客
そして現在再開を待っているこの時期が「準備期」となる 企業の体力を維持できるかが鍵
現場の声を国に届け
溝畑氏「観光というのはすそ野の広い産業だし 多くの零細事業者から成り立っている」
「こういう人たちの経営維持 生活を守ろうということも観光をやっている人間の大きな仕事なんですよ」
国を動かす →家賃人件費が払えない →政治家や官僚に直接伝えてきた
「国としての新スキームを!」
反転攻勢 より魅力的な観光地に さらなる一手
4月下旬、まだ続く自粛に 「回復期1」を反転攻勢時期に変更
- 知る人ぞ知る観光地へ
- これまで大阪の都市部を中心に観光を進めてきたが郊外の地域を紹介していく
- パワースポットをもっともっと増やしていこう
- ピンチをチャンスに
- We are Osaka をキャッチコピーに
東日本大震災の経験 観光庁長官であった当時 全国の自粛ムードに苦慮した経験 頑張ろう日本を掲げ復興に最大の寄与をしてきた
気持ちを一つにすることで「何か一緒にやろう」となる
溝畑流シナリオ 地域の魅力を再発見 団結してピンチをチャンスに
最後に
エキナカ事業「ecute」の仕掛人 ONE・GLOCAL代表 鎌田由美子さん
今後のシナリオをまとめる
- 半年間は「止血」ワクチン開発までは苦闘つづく 耐える時期 効率化も考えなければならない
- 地方にとってチャンスがやってくる これまでは東京がけん引していたがコロナ後は地方(出勤やテレワーク、副業、地方に定住)がチャンス 半サラ半農 趣味ではなく両方が生活の糧のスタイル
- 観光復活こそが経済再生をもたらす
- 観光がもたらす旅行消費額 27,1兆円
- 産業観光と日常観光 歴史的文化的だけでなく現存する日常的なもの 体験 見たことのない観光資源が魅力
- 公共の投資、インフラへの投資を期待したい